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田辺銀冶「国生み」




 

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宝井琴柑「山内一豊の妻」

てんがあさのごとくに乱れたる戦国の世。中でも織田上総介信長公、美濃岐阜の辺りを平定いたしますと、次第次第に勢力を拡大してまいります。天正年間と申しますと、まさに信長が勢いに乗っていた、そういった時代のお話でございます。時は天正の二年。花の盛りのやゆいの半ば、織田上総介信長公のご家来で、わずかに百五十冠をいただいております山内伊右衛門一豊。ご城下美濃の加納の宿にてにぎやかに催されましたる馬市へぶらりと出かけ、そこで一頭の栗毛の駿馬に目が留まります。値はわずかに金三枚。安いと思いましたが、貧乏侍の一豊には一枚の工面もつきませず、悄然として戻ってまいりましたる我が家。おかえりなさいませ。手をつかえて出迎えましたのが、奥様の千代でございます。この千代、大変な美人だったそうですね。背は高からず低からず、顔は長からず丸からず。全身からずで出来上がっていようという。おまけに肌の白いことといったら、雪にかんなをかけたように真っ白け。髪はからすの濡れ羽色。額が自慢で見せる三国一の富士額。眉毛は遠山の霞のごとく、白目は水晶、黒目は漆を垂らしたよう。おまけにまつ毛が長くて、鼻筋がつんと通ってずっと背中まであれば、これはかえるということになっとります。何しろこの美人の口の小さきこと。ご飯粒が十粒とは入らない、五粒くらいが精いっぱいだったそうでございますが。実はこのお千代。三年ほど前に、千代の母親と申しますのが娘可愛さゆえに、伊右衛門どのは貧乏でありまするからと引き止めますのお千代。いいえ。伊右衛門様は品行正しく、文武両道に秀でておられます。今にきっと、家を興される方でございまする。と、両の頬を紅に染めて必死に訴えるそんな娘の姿に、父親の喜助友興。うん。さすがは我が娘の言うことじゃ。喜んで身と狭い一豊の元に遣わした。この家中でも評判の小町娘でございました奥様の千代が。一日の務め、誠にご苦労様にてございまする。にっこりと笑いましたる妻の笑顔。一日の苦労も忘れ、すぐに己の今。腰に差しておりましたる大小の形ばかりの刀掛け。と、ふと見る庭先。今を盛りと咲き誇るひともとの山桜。じっと眺めまする一豊の胸のうちは感慨無量だ。つづきは動画で。宝井琴柑動画一覧はこちらから